意味深の呪縛

このあいだテレビでフランスの古い教会を観ててふと思ったこと。

昔のヨーロッパの絵画とか彫刻とか建物って、まさに美術だなーと思った。
現代の芸術にはごく当たり前のようにくっついている自己表現だとか社会風刺だとか何だとかかかんだとか、そんな賢げな「意味」は無く、ただひたすらに美しさだけを追求してるように見える。そのものの美しさ自体が意味/意義である、というのか。
(多少の好みの違いはあるだろうけど)誰もが “美しい” と感じるもの、ただただ美しいということだけがその目的で、その存在理由となるもの。
ステンドグラスの綺麗さは西洋美術の象徴?

美術というのは美の術と書くけど、本当に美の術だと思えるものは現代では案外少なくて、それらに「美術」という言葉を使うとどうもしっくりこない。
何を美しいと感じるかという価値観の違いを取り上げたとしても、現代アートの多くは “美しさ” を二の次にして別の目的や意図を持っている、「芸術」ではあっても「美術」とは言い難いもののように思える。

個人的に私はartというのは「ただ綺麗であれば良い」「見目麗しく眺めて心地良くなるものであればそれで(それが)良い」と思ってて、だから、いかにも的に意味深な芸術はあまり興味がないし、それどころか敢えて美しさを排除/汚して意味を持たせているような所謂 “考えさせられる芸術” に至っては、考えさせられる前にあざといと感じて興ざめする方が多かったりするのだけど、
そんな私でも現代人であるせいか、やっぱり “意味深の呪縛” みたいなものがあったみたい。
今までずーーーーーーーーーーーーっと自分の描くものに微妙な迷いというか、いやまあ迷いというほどふらついてるわけではないんだけど、自分が見てるものが微妙にはっきりしないというのか、とにかくそんな感じですっきりしなかったものが、そのフランスの教会を観ててすーっと晴れた。
ああそうだ、それで何が悪い。美しいは正義!とw

(原典である『かわいいは正義』の方の意味が本来どういう意味で使われているものなのかは知りません。言葉だけでみれば単なるワガママの正当化ともとれるけど、↑で書いたのはそういう意味ではありませんです)

石鹸玉
石造りの階段

日本語の「美術」も「芸術」も英語にすると art。そして英語のartという言葉の語源は、辞書によると、ラテン語の ars。元々は技術とか技法とかいう意味の言葉らしい。
また、自然物ではない人工物のことを artifact というけども、この単語の頭の art も、同じ意味の art なんだろうと思う。

この間RLで、庭~公園のランドスケープデザインの話をした。
……って、文章書くのが面倒になってきたのでメモ的なものでお茶を濁すw

  • 自然(天然)というのは落ち着くものであるが、刺激が少なく退屈なものでもある。
  • トピアリーを使ってきっちり人工的にデザインされた庭 (e.g. Formal gardenは刺激は多いが飽きる。これもある意味退屈?
  • 自然の森には影がある。自分が見ている木の裏側は、自分の見ている側とは違う・想像もつかないような姿をしているかもしれない。
  • 綺麗に刈り込んだトピアリーの裏側は、ほぼ予想通りの形をしている(丸く刈り込んだものであれば裏も同じように丸い)。裏側が、正面から見た時の予想を裏切るような形のものであれば、artとして面白いものになるのかもしれないが……。
  • 整形式ガーデンがはじまった当初は、木を幾何学的に刈り込むこと・自然を幾何学的に整形すること自体がartとして面白いものだったのだろう。世界全体が自然に近いゆらぎの多い世界であり、それを「人工的」な形にすることに興があった。
    逆に、プラスチックや工業製品など幾何学的な形のものの方が身近で手に入れやすくなっている現代は、ゆらぎの多いナチュラルガーデンの方が新鮮でおもしろく感じる。

もやが立ち込める

Art という言葉自体に “人の技” “人が作ったもの” (自然まんまではない)という意味がこもっているのならば、セカンドライフの世界はすべてが art なのでしょう。RLだったら放っておくだけでああなったりこうなったりすることも、SLではわざわざ意識して作らないとならないもんね。
湿地に靄がかかること然り、陰に苔がつくこと然り。夜になると明かりを灯すことも、雨が降って傘をさすことも、ブーツに泥がつくことも。
思わせぶりに何かを配置して、見る人に、見えない何かを訴えかけようとすることだけがSLの art ではない。
(アートだアーティストだクリエイターだともてはやされ、またそう自称している人達自身も、実はそんなに大仰には考えてないかもしれないよ?)

そして私は、artは美術でありたいと思う。
綺麗で、居心地が良くて、時間を忘れてのんびりできるような場所がもっと増えるといいな。

Posted: 2009-05-24 23:47:09 by たね (Katlla Klees)

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